KTR-10 パネル操作説明


KTR-10は Arduinoでコントロールされています。液晶とその下のボタン(SW1〜4)、ロータリーエンコーダで周波数の可変はもちろん、周波数の誤差設定などの設定を行うことができます。

電源投入後、ロータリーエンコーダを回すと受信周波数が変わります。

SW1〜4は通常の受信状態では以下のような機能になっています。

SW1 を押すと各種設定メニューとなります。これについては後ほど詳しく説明します。

SW3 はオートスケルチです。押すとスピーカーがミュートされます。押した瞬間の RSSI値を記憶しており、その値より 4dB以上強い信号が来たらミュート解除してスピーカーを鳴らします。電波強度が弱くなったら一定の時間後(初期設定で10秒後)にまたミュート状態に戻ります。もう一度 SW3を押すか、PTT ONで送信して受信に戻ったらこの動作を解除します。

オートスケルチで待ち受けしている間にノイズレベルが変わるなどしてスケルチが開きっぱなしになった場合は SW3を押して解除、再度 SW3を押してやるとスケルチが開くレベルを変更できます。

デフォルトで押した瞬間の RSSI値の 4dBに設定されていますが、SW1を押しての各種設定メニューで変更できます。また、電波が受信されなくなってからミュートする時間の変更も可能です。

SW4を押すと液晶はこのような表示になります。画像では 1k の上にマークがついています。これは現在の周波数ステップが 1kHzであることを示します。

この状態で SW1を押すと周波数が 100kHzステップになります。SW2では 5kHz、SW4では 100Hzステップとなります。

SW3を押すか、あるいはボタンを押さずにそのままロータリーエンコーダを回した時は 1kHzのままとなります。

電源を入れて数秒すると液晶はこのような表示になります。電源が入ってすぐに表示が出ないのは Arduinoの仕様です。

ロータリーエンコーダを回すと受信周波数が変わり、液晶にその周波数を表示します。

画像左上から、周波数、電源電圧、下の行に来てシグナル強度(グラフ)、RSSI値、RX/TX表示となります。

シグナル強度は左側にそれっぽいバーグラフが表示され、その右に S0〜S9+が表示されます。更にその右側が RSSI値です。右端は受信中であることを示します。

S0〜S9+の表示レベルは各種設定メニューで変更可能です。

送信すると右端の表示が「TX」に変わります。なお、PTTを有効にするには後述の設定が必要です。デフォルトでは送信状態になりません。

各種設定メニュー

通常の状態で SW1を押すと各種設定メニューモードとなります。液晶はこの画像のように表示されます。

この状態でロータリーエンコーダを回すと下の行が変わっていきます。これは設定する項目内容が表示されています。設定したい項目が出てきたら SW4を押すとその項目の内容の変更ができます。SW1を押すと元の状態に戻ります。

設定メニューモードでは

となります。ロータリーエンコーダで値を変えたり選択肢を選んだりします。

各種設定メニューの1番は「シグナルジェネレータ」です。KTR-10に使っている PLL ICは同時に3波出すことが可能です。それを利用して受信調整に使う為の信号を出力します。あくまでも自身の受信調整の為の機能です。

Menu 1番で SW4(Enter)を押すとこのような表示になります。「OFF」はシグナルジェネレータが OFFであることを示します。

ロータリーエンコーダを右に回すと 50.00MHz と表示されます。

更に右に回すと 50.20MHz と表示されます。あくまでも KTR-10の受信調整用なので周波数は使いそうな値だけになっています。

周波数を選んで SW4(Enter)を押すと右端に OK と表示され、PLL1から信号が出ます。PLL1は送信用ですが、この場合は送信回路 ONにはなりません。

PLL1の出力レベルは大きいので、特に線をつないだりしなくても受信できると思います。設定メニューを抜けて通常状態で RSSI値を見ながら受信基板の TC1を調整して一番感度のいいところに合わせます。

調整が終わったらまたメニューのシグナルジェネレータを選択、OFFに設定すると止まります。


各種設定メニューの2番はオートスケルチのレベル調整です。

デフォルトで 4dB になっています。これは、SW3を押した瞬間の RSSI値よりも 4dB以上強い信号が来た時にスケルチが開く動作をします。

ロータリーエンコーダを回して値を変更して SW4(Enter)を押すとその値に変更されます。


各種設定メニューの3番はオートスケルチのディレイ調整です。一旦スケルチが開いた後で信号が来ない(弱くなった)状態になってからスケルチが閉じるまでの時間を設定します。

デフォルトで 10 Sec になっています。


「Freq. Offset」は PLLの周波数誤差設定です。

PLLの周波数がずれている場合に設定します。10Hz単位で調整できます。

ここで表示された値が追加されて出力されます。周波数が高すぎる場合はゼロ以下の値で調整してください。


「RS9 Level」は S0〜S9+の表示レベル調整です。シグナルレポートが「9」ちょうどの時の RSSI値を設定します。

デフォルトで 38 dB になっています。感度が異なる場合は調整するといいでしょう。


「Set PTT Volt」は PTTスイッチを ONにした時の電圧を設定します。最近のリグのハンドマイクの中にはマイク信号と PTTを線1本で共用したものがあります。KTR-10では PTTの ON検出を A/Dコンバータで調べるようにしてあり、こういったマイクでも対応できるようになっています。

初期状態では PTT検出が無効化されています。実際に使うマイク(PTT回路)をつなぎ、この設定メニューを実行するとこんな感じで表示されます。下の行には A/Dコンバータで測った電圧が表示されます。

PTTを ONにしたらここの電圧が変わるのを確認します。その状態(PTT ONの状態)のまま SW4(Enter)を押すとその電圧を記憶します。メニューを抜けて通常の状態に戻ってから PTT ONにすると送信状態になります。


「PTT Volt High」は前述の「Set PTT Volt」が設定済みであれば実行する必要はありません。この項目は何らかの理由で直接 PTT ON時の上限電圧を設定する必要がある場合に設定します。

PTT ON時の上限電圧を設定します。ここを 000 mV にすると PTT動作が禁止されます。


「PTT Volot Low」は「PTT Volt High」と同様で下限電圧を設定します。やはり「Set PTT Volt」が実行されていれば設定する必要はありません。



「IF Freq.」は IF周波数(中間周波数)を変更する必要がある場合に設定します。通常は変更する必要はありません

変更するとしたら

など、受信回路を改造する場合にのみ、設定変更します。

IF周波数を変更するかの確認です。変更する場合はロータリーエンコーダを回して YES にします。

変更しないのであれば NO の表示で SW4(Enter)を押すか、あるいは SW1(Menu/Cancel)を押します。

「YES」にして変更する場合です。まず、MHz台の設定です。IFが 1MHz未満の場合は 0 MHz にします。10.7MHzの場合は 10 MHz にして SW4(Enter)を押します。やめる場合は SW1(Menu/Cancel)。

次は 1kHz単位の設定です。ロータリーエンコーダを回して設定したい周波数に合わせます。

局発周波数が受信周波数よりも高いか低いかを設定します。回路や周波数によっては局発を受信周波数より高く設定した方がいい場合もあります。その時は OSC > Freq を選択します。


「Init Config」は各種設定内容を全て初期化する時に実行します。

この項目を選択すると「Cancel」になっています。

ロータリーエンコーダを回して「OK」にして SW4(Enter)を押すと設定が初期化されます。周波数の誤差も含めて全て初期化されます。

ファームウェア Version 1.0.2以降

ファームウェア Version 1.0.2以降ではメニューが追加されました。「Init Config」は 12番目となります。

「RX Freq. Offset」は受信周波数の誤差設定となります。AM受信のみ(通常)の場合は少々の誤差は気になりませんが、BFOを追加して SSB受信する場合には周波数のズレが問題になってきます。

「Freq. Offset」は送信・受信のどちらにも適用されますが、「RX Freq. Offset」は受信時のみに適用されます。

調整する場合は

  1. 「TX Freq. Offset」を 0にする
  2. 送信して周波数を確認、「Freq. Offset」を調整する
  3. 正確な信号を受信して「RX Freq. Offset」を調整する
  4. 必要であれば「TX Freq. Offset」を調整する

の順番で行います。通常は「TX Freq. Offset」は0のままでいいはず。


「TX Freq. Offset」は送信時の周波数誤差設定となりますが、通常は0のままで問題ありません。使うとすれば改造したなど、特殊な場合に限られると思います。



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