Lexicomp LC-8600シリーズ専用モデムカードイネーブラ MCARD.EXE Version 1.23 1997.9.23 yk_kawa(at)sannet.ne.jp ゆき §1 はじめに  Lexicomp社のパームトップPC LC-8600シリーズにはモデムが内蔵(オプ ションのモデルもありました。)されていますが 2400bpsと、最近では遅い モデムと言えます。メールアクセス程度なら十分実用になりますが、書き込 みの多い会議室の巡回やファイルのダウンロードをしようと思うと速いモデ ムが欲しくなります。せっかくのパームトップPCなので外付けモデムでは 機動性が失われてしまいます。そこで、モデムカードを使いたくなるのです が、LC-8600シリーズの PCカードスロットはサポートソフトが無い為に S-RAM カードと Sandisk社(旧Sundisk社)の ATAフラッシュカードしか使えません。  そのため、その欠点を補うよう開発したのが MCARD.EXEです。モデムカー ドに対象を絞った非常駐型のポイントイネーブラです。全てのモデムカード が動くのを目標に作りました。LC-8600シリーズの活用範囲が広がる手助けに なればと思います。 §2 動作確認  PC本体 Lexicomp LC-8620 1996年 9月に購入したもの (BIOSバージョン:E0E2SH13-950308)  モデムカード 以下のモデムカードはすべて動作しました。 ◎Megahertz XJ2288(28800bps) ◎Megahertz XJ2144-81(14400bps) ◎SUNTAC MS144CF(1440bps) ◎NTT DoCoMo MAH11データ/FAXカード2(9600bps) ◎Megahertz XJ214FM-81(2400bps) ◎Panasonic PHSデータ通信PCカード KX-PH402(αDATA32)  次のカードは動作しませんでした。 ×京セラ データスコープ DS-110 ×SII αDATA通信カード MC-6500 §3 使用方法  MCARD.EXEは非常駐型のポイントイネーブラですので、CONFIG.SYSや AUTOEXEC.BATを書き換える必要はありません。通信の前後でカードを ON/OFF すれば OKです。 <手順> (1) カードをスロットに挿入する (2) MCARD ON を実行する。これ以降、カードは COM3として動作する。 (3) 通信ソフトを実行する。通信ポートは COM3, IRQ7になることに注意。 (4) 通信終了後、速やかに MCARD OFF を実行する。 (5) カードを抜く  バッチファイルで自動実行するとよいでしょう。 <バッチファイル例> @echo off ABSETUP A=0 >NUL ←オートパワーOFFを禁止 MCARD ON ←カードイネーブル if errorlevel 1 goto EXIT ←失敗したら終了 KTX ←ここでは KTX を実行 MCARD OFF ←カードOFF :EXIT ABSETUP A=3 >NUL ←オートパワーOFF 3分に設定  また、モデムカードがスロットに入ったまま、誤って ATAフラッシュカー ドのドライブをアクセスしてしまうとハングアップしてしまうので、通信終 了後は速やかにカードを抜いたほうがいいでしょう。ハングアップしても、 カードを抜けば復帰できます。 <オプションスイッチ> ON カードイネーブルする。 OFF カード使用を終了する。 通信が終わったら必ず実行してください。 -Cn COMポートを n に変更します。 n は 1か 3か 4が指定できます。 デフォルトは 3 です。 -In IRQを n に変更します。 n は 2,4,5,6,7が指定できます。 デフォルトは 7 ですが、COM1を指定した場合は 4になります。 -?, -H ヘルプを表示します。 ※バージョン 1.0 の -X は不要になったので廃止しました。つけても無視 します。 §4 注意事項 ●BIOSバージョン  現在のバージョンは BIOSの内容に依存した方法でカードを安定動作させて います。そのため、BIOSによっては使用できないものもあるかもしれません。 「Not found Patch address.」というエラーが発生した場合は、できるだけ 対処したいと思いますので作者まで連絡してください。  ただし、CPU(F8680A)のバージョンが Rev.E 以前だとハードウェアの差か ら対処が不可能であるかもしれません。(Rev.E以降、PCカード等のハードウェ アが改良された。) ●モデムカード挿入時のリセット  モデムカードを挿入したままリセットするとハングアップすることがあ ります。リセットするときはカードを抜いて行ってください。  また、MCARD ON のまま Ctrl+Alt+Del でリセットするとカード関係のハー ドウェアがモデムカードの設定になったまま起動するので不具合を発生する 可能性があります。必ず MCARD OFF を実行してからリセットするようにし てください。やむを得ずリセットする場合も、起動後に MCARD OFF を実行 するようにしてください。 ●モデムカード挿入時の ATAフラッシュドライブアクセス  モデムカードがカードスロットに入った状態で ATAドライブがわりあてら れたドライブをアクセスするとハングアップすることがあります。その場合 はカードを抜いてください。ファイラーを使うと、ドライブの変更などの際 に無意識にアクセスしてしまうことがあります。 ●電源 ON/OFF(サスペンド/レジューム)  MCARD ON の後、電源を切る(サスペンドする)とカードの動作が停止しま す。MCARD OFF でカードを使用不可にするまで電源を切らないようにしてく ださい。オートパイロットなどを使う場合には LC-86xxのオートパワーOFFが 効かないように設定しておく方がいいでしょう。 ●COMポートと IRQ  LC-86xxには COM1(内蔵UART),COM2(内蔵モデム)が既に存在しますが、 内蔵 UARTは禁止できるのでカードモデムを COM1-IRQ4にすることもで きます。  しかし、混乱を避けるためデフォルトでは COM3-IRQ7になるようにし てあります。  古い通信ソフトでは、COM3-IRQ7を指定できないものもあるようです。 この場合は COM1-IRQ4でお使いください。  KTX や WTERM (いずれも DOS/V用)の最新バージョンでは COM3-IRQ7を 指定できるようになっています。以下は KTX の初期化ファイルである KTX.CFG のうち、COMポートと IRQの指定部分を抜き出したものです。 port 3 ;(A) 0:内蔵 1 or 2 (DOS/V版 1〜4) irqno 7 ;(C) IRQ指定 こののように記述すれば COM3-IRQ7で動作させることができます。  また、次のようにすると環境変数で COMポートと IRQを変更できます。 port %COM% ;(A) 0:内蔵 1 or 2 (DOS/V版 1〜4) irqno %IRQ% ;(C) IRQ指定 外部モデム使用時: set COM=1 set IRQ=4 内蔵モデム使用時: set COM=2 set IRQ=3 カードモデム使用時: set COM=3 set IRQ=7 とするとモデムの使い分けができます。 (モデム初期化の ATコマンド等も変更しておく必要がありますが。) §5 その他  できるだけ多くの LC-86xxで動くようにしたかったのですが、このバー ジョンはやむを得ず BIOSにパッチをあてて動作します。決まったアドレ スにパッチをあてるのではなく、問題の位置を探してパッチあてするよ うにはしてありますが、それでもだめな場合もあるかもしれません。そ の場合もあきらめずに作者まで連絡してください。できるだけ対処した いと思います。  原理上、PCから見てシリアルポートに見えるカードはこのソフトで イネーブルすることができます。確認したわけではありませんが、シリ アルポートカードとか、Panasonicの見えるラジオカードとかが使えるか もしれません。使えた場合は是非動作報告してくださいね。(^_^)  このソフトはフリーソフトとします。著作権は放棄しませんが、配布・ コピー等、自由に行ってかまいません。また、このソフトを使ったこと による損害には責任をもちません。他のBBS、ホームページ・雑誌等 に掲載する場合には連絡をお願いします。  このプログラムはエル・エス・アイ ジャパン(株)の LSI C-86 Ver.3.30c 試食版でコンパイルされています。完全に実用になるCコンパイラーを フリーで公開してくださったエル・エス・アイ ジャパン(株)の皆様に感 謝します。  このソフトの開発に際し、ソフトバンク 牟田拓・福田雅史共著 「Massif ハイパーガイド」が大変参考になりました。また、M社のT氏 並びにS氏(ご迷惑がかかるといけないので実名は伏せます。)には資 料閲覧の機会を作っていただき、たいへん感謝しています。どうもあり がとうございました。m(__)m yk_kawa(at)sannet.ne.jp ゆき