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DS18B20(+)エミュレータ DSE-11

2025.4.10


アナログ・デバイス社から温度センサーICとして DS18B20というのが出ています。異なるパッケージもありますが、秋月では TO92(昔の3本足トランジスターのような形状)で販売されていたりします。また、Amazonや AliExpressなどではステンレス管に入ったセンサー形状で売られていたりもするようです。

この ICはチップ自体が温度センサーとなっており、測定した温度を 1-Wireプロトコルでデジタル値として読み取ることができます。A/D変換なしのマイコンチップでも比較的簡単に温度測定ができるのでそれなりに使われています。

ところがこのセンサー形状で売られているものが曲者で、現在では純正でないチップで作られているものが多いようです。(参考:1Wire温度センサDS18B20の偽物を追え!

更にセンサーとしての作りも悪く、高温・高湿下で長時間使うと動作不良になったり壊れるものも多いようです。ある会社がこのセンサーを大量に使っていたのですが、短期間(数ヶ月程度)で動作不良になるものが続出して困りはて、うちに相談をもちかけたので作ったのがこの基板です。

画像左側の端子台にサーミスタをつなぐと右側の端子台から DS18B20互換の 1-Wireプロトコルで温度値を送信します。この基板を使えば DS18B20(互換?)のセンサーを使わず、システムの改修もせずに比較的安価で信頼性もあるサーミスタのセンサーをつなぐことができます。

純正の DS18B20は電源を通信線からとることで2本の線だけで運用する「パラサイトモード」という動作も可能ですが、さすがにうちの基板ではそれは無理で 3.3〜12Vの電源が必要になります。

→回路図(PDF)

いくら DS18B20が高価になったとはいえ、こんな基板を使うとその価格を超えますが、既存のシステムの変更が不要ということで採用となりました。

なお、1-Wireプロトコルは当初 DS18B20を開発したダラス・セミコンダクター社が特許をとり、その後 M&A等あったらしくいろいろ製造会社が変わって権利を引き継いだと思いますが、アメリカでの特許は数年前に切れたようです。センサー形状の互換品(?)が増えたのもその頃なので関連があるのかもしれません。

というわけでまとまった数を作る必要があったので専用のプログラム書き込み・チェッカーを作りました。製造した基板をスプリングピンで挟み込み、MCUのプログラミングと動作確認を行います。画像は 10kΩの抵抗を接続した状態で温度データを読み出しているところ。基板上の半固定抵抗で微調整をして 25.0℃に合わせます。

130℃設定にしてみたところ。サーミスタ代わりの抵抗は 475Ωになっています。少々の誤差は出ていますがこの程度が普通かと。

-40℃設定にしてみたところ。抵抗は 191kΩ程度。

外部サーミスタをつないで動作させてみているところ。


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