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キットを確実に完成させる為に


2024.5.1
→KTR-10 概要
→作り方等はこちらから

2024年5月現在、KTR-10のキットは 40セット以上配布しました。何件か完成報告もいただいていますが、うまくいかなかった方もいらっしゃるのではないかと思います。「今更!?」という気もしますが、キットを作るうえで改めて注意点などをお知らせしておこうと思います。

ハンダづけ

統計をとったわけではないですが、うまくいかなかった原因の9割はハンダづけのはずです。あとは部品の挿し間違いとか。

基板裏面の拡大画像です。KTR-10は 50MHzではありますが高周波回路であるので面積の広い「ベタグランド」のパターンにしてあります。性能を優先した為ですが、これがハンダづけを難しくしています。グランドのランドはサーマルパッドにしてあるのでハンダづけの際の熱が逃げにくいようにはしてありますが、それでも回りにかなり熱がとられます。

従って、グランドをハンダづけする場合はガッツリ加熱してください。最近の部品は以前より(たぶん)熱に強いです。ハンダが溶けて流れて富士山型になるまで加熱してください。

グランドをつける時だけ大きなハンダゴテを使う方法もあります。わたしはハンダゴテは通常2本使い、グランドなど熱を取られる部分は太いものを使います。

それから部品を一つつけたら必ずハンダづけの具合を確認してください。きちんと溶けて富士山型かどうか確実に確認します。

ケミカル(薬品)ツールの利用も考えます。「プリント基板用フラックス」も最近は無洗浄タイプの良いものがあります。パネル基板の液晶のピンや IC等、ランド間の狭い部分はフラックスを塗ってからハンダづけするといいでしょう。フラックスはハンダが流れやすいようにするのが主目的ですが、ハンダづけの際の熱が伝わりやすくなるようにも思えます。

また、ハンダがブリッジしてしまった時にも使えます。ブリッジした部分にフラックスを塗り、できれば太めのハンダゴテを当てると溶けて流れてブリッジが解消しやすくなります。

ひととおりハンダづけが終わったら「フラックスクリーナー」でクリーニングすると綺麗になります。無洗浄フラックスは必ずしも除去する必要はありませんが、フラックスクリーナーを使うと基板の汚れがとれますのでハンダづけの具合がよくわかるようになります。ルーペ等も使ってうまくハンダがついているか確認するといいでしょう。

画像の汚い使い古しの歯ブラシはフラックスクリーナーを塗布した後に基板をこすって汚れを落とす為のものです。その後、キムワイプなどでクリーナーや汚れを拭き取ります。

なお、ハンダづけはわたしがつけた SMD部品の所が悪いこともあり得ます。よく調べたがどうしてもうまくいかない場合はお問い合わせください。

部品

購入して使うように指定したセラミックコンデンサの字が薄かったり小さかったりしてよく読めないと思います。その為、コンデンサはハンダづけの都度、一つ一つ袋から出すようにして決して他と混じらないようにしてください。

ある程度手持ちの部品がある方はそれを使うことも考えていると思います。それはそれでかまいませんが、0.01uF以下のコンデンサについては「温度補償型」を使うのをおすすめします。秋月では小容量の温度補償型が豊富です。温度変換による容量変化が少ないだけでなく、高周波特性も良いので。

なお、送信基板の出力の LPFには「必ず」温度補償型を使ってください。温度補償型でないタイプのセラミックコンデンサは電圧によって容量が目減りします。送信回路のように大振幅の回路に使うと電圧が高い時と低い時で容量が変わるわけなので波形が歪んでスプリアスの原因になります。スプリアスを減らすつもりで入れた LPFがスプリアスの原因になります。それを知らなかったわたしは2,3ヶ月間悩みました。

あと、最近は 100μFのセラミックコンデンサなんてものが普通に存在します。うちのキットでも 10μFのセラミックコンデンサを使っていたりします。「10pF」の間違いではありませんので勘違いしないようにしてください。

配線材として「コネクタ付きケーブル」を使うように指定したりしていますが、このコネクタがヘタりやすいです。数回抜き差ししただけでゆるゆるになり、接触不良を起こします。ゆるくなってきたと思ったら早めに交換するのをおすすめします。動作確認が終わって本格的にケースに組み込む際はしっかりしたケーブルを作るのがいいでしょう。

手順

やはり統計をとったわけではありませんが、基板全部を全てハンダづけしてから動作確認をするような方は失敗率が高い気がします。少なくともコントロール・PLL基板とパネル基板を作ったらその時点で動くかどうか確認してください。それがちゃんと動いているのを確認してから受信基板を作り、受信できるかどうか確認してください。送信基板やミキサー基板はその後に。

作業としては部品を一つつける毎にハンダづけの具合を確認するくらい、コツコツと気長にやるのがかえって早道になるかと思います。作る前から数Wのリニアアンプを追加することを考えている方も意外に多いようです。その意欲は買いますが、とりあえず 100mW出してください。


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