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TRX-505M / NFB付きベース変調を用いた 6mAM 自作機 / JR0DBK

2020.5.16
2020.6.13
写真で見る TRX-505M等、追記。
→50MHz AM QRPトランシーバー TRX-505 の製作
→50MHz AM QRPpトランシーバー TRX-504 / TRX-503S の製作
→50MHz AM QRPpトランシーバー TRX-503 の製作
→50MHz用 SKYDOORループアンテナを自作して通信実験
→50MHz専用 グラフィカルSWR計の製作

「ベース変調は音が悪い」という常識を覆す

昨年作った TRX-504で NFB付きベース変調というのをやってみましたが、波形が良好で歪感も無く、回路もそれほど複雑でないのでもう少しいじってみようと思い、TRX-505の変調回路をこの方式に置き換えたものを作ってみました。


変調部分、及び終段増幅です。PLL(Si5351A)の出力を 2SC3356x2のプッシュプルで軽く増幅・変調し、AFT05MS003Nで一気に 500mWまで引き上げます。2SC3356のプッシュプルは変調をかける都合上、レベルの低い部分で使う必要があるのでここではゲインは数dB程度しかとれません。一方、AFT05MS003Nは比較的新しい RF MOS FETなのでかなりゲインがとれます。正確なところはわからないのですが、この回路では 20dB以上とれているような気がします。

このプッシュプルのベース電圧はオペアンプ(AD8531)でドライブしますが、その出力レベルをコレクタに入れた抵抗(R16)で検出し、フィードバックをかけます。このループを音声信号で振ってやることで変調をかけます。フィードバックがあるのでベース変調に付きものの歪みはほぼ無くなります。

プッシュプルではなく、単体のトランジスタでも同じ方法で変調をかけられると思いますが、ベース電圧の低い部分、キャリア波形の上下の非対称が大きい領域で使うことになるので偶数次のスプリアスが大きくなると思われます。トランジスタ自体は安価ですし、手巻きでトランスを作るのは少々面倒ではありますが、回路としてはそれほど複雑になるわけでないのでプッシュプル構成にして綺麗な波を目指します。

今回は 2SC3356を使いましたが、たぶん 2SC1815など、もっとロースペックなものでも問題なく動くのではないかと思います。hfeは小さい方が制御しやすく、結果的に大きな出力が出せると思われます。上記回路の終段を取り除いた状態で 10mWくらい出れば、かのFCZポケトラ的なものになるかなと。

ところで、4W出力とれる AFT05MS004Nというのもありますが、なぜか MOUSERで「SOT-89」で検索しても出てこないので存在に気がつきませんでした。003Nで免許申請しちゃったので変更もできないし。

NFBが無い、つまり普通のベース変調時と、NFBをかけた時の比較。左が NFBが無い場合。VBE-IC特性の立ち上がりカーブの影響で正弦波の先端が尖った形に歪むことがわかります。「ベース変調は音が悪い」というのはこれを指すと思われます。右側は NFBによる補正が入ってるのでちゃんとした正弦波。

送信回路ブロック図。ブロック図だと部品は少ないみたいですが、なんだかんだでそれなりの部品数があります。免許変更申請済みで下りるのを待っている状態です。(注:申請受理されました。)

→送信基板 回路図(PDF)
→受信基板 回路図(PDF)
→MCU / 電源 / PLL基板回路図(PDF)
→操作パネル回路図(PDF)

BPFはこんな感じ。Qを上げた T型LPFの2段直列。最初のは Qを低めにしてインピーダンスマッチングを優先、後の方を Qを上げてフィルタリングしているつもり。これでなんとか2次高調波 -20dBm以下をクリアできたかな?

送信基板上にはこの回路図の左側の分しか載っていません。右側は受信基板に送受信切り替えの RF Switchとと共にあります。

RF Tools | LC Filters Design Toolの計算値。Passband Rippleを大きくした3次チェビシェフLPFなので 50MHzあたりに山ができる。

受信ブロック図。50MHzを RF AMPで増幅、Mixerで 10.7MHzに変換してあとは Si4735に任せています。Si4735の SSB Patchが使えるようになったので AMの他に SSBも受信可能になっています。また、中波用のバーアンテナを内蔵し、FM放送の他に AM放送も受信できます。Si4735は長波〜短波受信も可能なのですが、幅広い範囲をカバーするのはいろいろ面倒なので、この機で実用になるのは中波域のみ。

送信回路の画像と波形等

開発中の図。TRX-505の送信基板を今回の基板と置き換えて実験。この画像では終段回路はまだありません。

終段回路を追加した基板 01。放熱器は本来、ファイナルFETの裏面につけるべきなのでしょうが、基板の下には Li-Po電池があってつけられないので FETのそばに宙に浮いた状態で取り付けられてます。コイル類はトロイダルコア・ダストコアに手巻きしています。面倒ではありますが、いろいろ調整して実験ができるので。

1kHz変調波形。綺麗に変調がかかっていると思います。

上記波形時の変調波のスペクトル。信号と高調波の差が 30dBとれていて大変良好。ただし、現在は消費電力を抑える方向で調整したのでここまでは出ません。23〜25dBくらい?

高調波スプリアス。基準以内ですが2次高調波が少しあります。グラフはアッテネーターも含めて補正済みなので 0dB = 0dBm = 1mW。

試しに少し過変調にしてみました。ベース変調なので低い方はクリップします。

上記波形時のスペクトル。帯域が広がるとはこういうことなのですね。

写真で見る TRX-505M

内部基板。左上が受信とアンテナ切り替え回路部分。左下が送信回路。右側は制御部分と PLL、電源回路、Li-Po電池充電回路。。制御基板及び受信部基板は TRX-505とほぼ同じ。送信回路も変調部分のみの変更なので双子と言ってもいいですね。

ケース外観。こちらも TRX-505とほとんど同じですが、ロッドアンテナが違うのでその部分のみ変更してあります。全く同じだと区別がつかないので色はつや消しの黒に。

外部アンテナコネクタの保護カバー。閉じているとロッドアンテナが有効ですが、スライドさせて開くと外部アンテナコネクタが有効になります。

ボディ左側。上の穴はヘッドフォン端子で、下がマイクコネクタ。マイクは八重洲のΦ3.5mm 4Pタイプ互換の物を使います。このマイクはスピーカーマイクなのですが、このコネクタにはスピーカー出力は出ません。これは基板が受信部と送信部に分かれている為。いろいろ切り替えるのも面倒だったので。

ボディ右側。上から ISPプログラム・デバッグ用コネクタ、5V 2A入力の microUSBコネクタ、小さくて白い丸2つは充電インジケータLED、12V入力コネクタ。5V及び 12V入力は内部の Li-Po電池を充電するのに使います。

分解図。ボディ前面の一番左のネジ2つはダミーです。単なる飾り。あるいは、ネジを無くした時の予備とか。

送信部及び受信部基板のクローズアップ。手巻きのコイルが多いですね。受信部基板にジャンパー線が何本かありますが、意図的なもの。左側の寝ている電解コンデンサ2個の下にスピーカーアンプがあるんですが、この配置だとどうしても配線が送信回路のグランドを横切ってしまうのでそれを避けた為。

上ケースの裏面。スピーカーとロッドアンテナのマッチング回路があります。送信電波が基板に飛び込むのを防ぐ為、電磁波吸収シートを貼り付けたプラ板でシールドしてあります。マッチング回路は品川アンテナ(GAWANT)を参考にアレンジした回路。わたしは勝手に「KAWANT」と呼んでたり。

→ロッドアンテナマッチング回路図

フロートバランを入れるとグランドの影響が最小限になるので周囲の状態次第で動作が不安定になることが無くなります。その代わり、高周波的にはグランドと切断された状態になるので微妙に感度が落ちる気がします。

以下の記事を参考にしています。感謝。

→JH4VAJ局の GAWANTもどき製作記事
→JR8DAG局の Imitation of GAWANT50A

ロッドアンテナの SWR特性。トリマーコンデンサ及びコイルのタップ切り替えで楽々 SWR1.2以下を狙えます。

下から見た図。基板の下側に 2000mAhの Li-Po電池が2個あります。消費電流は受信時は 100〜200mA程度、送信時は 300mAを少し上回るくらい。

制御基板の裏面の中波用バーアンテナとそのインダクタンスを測っているところ。aitendoで売ってたバーアンテナをほどいて使っています。Si4735の場合、200μHちょっとくらいの値にすると中波受信に具合がいいようです。インダクタンスが大きいと高い周波数が入りにくくなります。300μHくらいだと 1500kHz以上で同調時のキャパシタが最低限になって調整できなくなるようです。なお、データシートではバーアンテナは 180μH以上が指定されているのでそれ以上がいいでしょう。

自作のパワー計で送信出力をテストしている図。

1kHz変調波形。消費電力を抑える方向で調整をしたら波形のピークがちょっと丸まりましたが、音質的には支障ないレベルかと。

実際の音声波形。

名称50MHz AMトランシーバー TRX-505M
周波数受信:50.000.0MHz 〜 51.000.0MHz(AM/SSB)
FM放送:76.0 〜 108.0MHz
AM放送:150kHz 〜 30MHz(ただし、実用感度は中波域のみ)
送信:50.000.0MHz 〜 51.000.0MHz(AM)
送信出力:500mW / 8V
終段FET:AFT05MS003N x 1個
電波形式:AM(A3E)
変調方式:低電力変調(NFB付きベース変調)
受信 受信方式:RFアンプ+シングルスーパーヘテロダイン+DSP
中間周波数:10.7MHz
DSPチップ:Si4735
(AM及び SSB受信可能。SSB patch : PU2CLR SI4735 Library for Arduino)
制御MCU : STM32L051K8T6
PLL : Si5351A
電源3.7V 2000mAh Li-Po電池2個内蔵
充電入力 12V 1A もしくは 5V 2A
外形寸法・重量150mm x 75mm x 35mm(突起物を除く)
重量:340g(内蔵 Li-Po電池を含む)

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