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VS1011 + SDメモリーカード + AVR を使った

MP3プレーヤーの製作 3号機編

2005.10.5 新規
2005.11.13 更新

→試作機編
→2号機編
→4号機編
→MP3プレーヤーキット BK-1
→FM/MP3プレーヤー 汎用基板

自作MP3プレーヤー3号機と FRISKと都こんぶ

小型化

 2号機製作から既に2年経ち、新しいデバイスとかも使えるようになりましたので以前より小型にしたものを作ってみました。とは言っても小型化はちあきさんにはかないませんし、以下の点にこだわってみました。

 秋葉原に行った際に、いくつかケースとして使えそうなものを買い集めましたが、そのうちタカチのものがサイズ的にちょうどよかったので使ってみました。内部回路はある程度作れますが、ケースは自分では作れないのでいつもなにかいいのが無いか探しています。

MP3プレーヤー3号機の仕様
主要LSI MCU:ATmega8-16AC(ATMEL)
DSP/DAC:VS1011B(VLSI)
DC-DC converter:MAX1674EUA(DALLAS MAXIM)
プレーヤー前面
かわいい?
記録メディア MMC/SDメモリーカード
容量:8〜512MBで動作を確認
フォーマット:FAT12, FAT16 ロングファイル名でも問題無し
ルートディレクトリの拡張子が MP3のファイルのみを演奏する
MP3以外のファイルは無視する
FAT32には未対応
操作ボタン 赤:電源ON/OFF 兼 順方向スキップ
青:逆方向スキップ
茶:ボリューム DOWN
黄:ボリューム UP
対応データ形式 MPEG 1 & 2 Layer-3, Layer-3の 2.5拡張
VBR対応 全てのサンプルレート、ビットレートに対応
ビットレートは 320kbpsでもOK
データ転送・管理 パソコンの SDカードリーダライタで SDカードのファイルを管理
その SDカードを本体スロットに差し込んで再生する
自身には SDカードに書きこむような機能は無い
サイズ 40mm(W) x 80mm(D) x 20mm(H)
(タカチ HW-1551KG/Hammond 1551KGYを使用)
質量:未測定
電源 単4型 Ni-MH電池×2本
アルカリ電池も使用可
消費電力 再生中:128kbps MP3の場合、2.4Vで実測約65mA、2.4x65=156mW
ビットレートが上がると消費電力は少し増える
待機時:0
その他 液晶ディスプレイ、リモコン等は無し
ヘッドフォン端子は一般的なφ3.5ステレオのタイプ
→回路図(Schematic)
→AVR-GCC ソース(2006.6.2)
→旧ソース(2005.11.12)
→Makefile

解説

内部

 回路的には2号機とあまり大差はありません。MP3デコーダチップは VS1011になり、I/Fを SPIモードで使っていることと、DC-DCコンバータに MAX1674を使っていることが主な変更点です。ただ、ケースの小型化に伴い、ボタンを一つ減らして4つにしてあります。また、ATmega8や VS1011もフラットパッケージのものを使用し、チップ部品も多用しています。

 ソフトウェア的にも2号機と大差ありません。SPIモード対応とスイッチの操作の変更くらいかな。スイッチが減ったので、順方向曲スキップを ON/OFF(PLAY/STOP)と兼用しました。再生中、チョンと短く押すと次の曲を再生しますが、ちょっと長めに押すとストップして電源も切れます。

基板クローズアップ

 ATmega8と VS1011の真上に電池が来るのでこのあたりには背の高い部品は実装できません。さすがに VS1011にはアイテムラボのピッチ変換基板を使いましたが、スペースの関係上、ATmega8ではそれもできず、直に配線しています。

 DC-DCコンバータには MAX1674EUAを使いました。8ピンとはいえ、0.5mmピッチなのでハンダ付けが大変です。しかし、MAX778よりも効率がいいはず(仕様書では最大 82% → 94%)なので使ってみました。2号機と比べて抵抗値を変えたりポップノイズ対策のフォトMOSリレーを省略するなどの細かい見直しを含め、全体で以前より 5mA程度電流を食わなくなったようです。電池を単四にしたので 1mAでも節約したいところ。

 VS1011のフラットパッケージ版では仮想グランドのバッファ端子があるので、それを使うと出力コンデンサが省略できます。また、電源 ON/OFF時のポップノイズも皆無ではありませんが小さくなっています。特に何もせず使っても支障ありません。

 MAX1674にはシャットダウン端子があり、それを使えば電源の ON/OFFのトランジスタがいらなくなるのですが、電池の電圧を監視したかったので前と同じ様にトランジスタをいくつも使った回路になっています。電池電圧の監視をするようにするとどうしても電源 OFF時に電流が流れてしまいますので。監視をしないならシャットダウン端子を使ってもいいんですが。

ケース内側

 ケースの内側です。下ケースに電池ホルダを自作してあります。市販の電池ボックスを使うと高さが足りなくなるのでリン青銅板を曲げて作っています。また、このケースは本来、上下ケースをネジ止めするようになっているのですが、電池交換するのにドライバを使いたくなかったのと、内部スペースに余裕が無かったので固定フックもリン青銅板で自作しました。

上ケースパネル面内側

 表パネルの内側です。スイッチの基板とメイン基板を固定する為にアクリサンデーの FOREXの小片を接着してあります。また、下ケースの固定フックの為の溝も削ってあるのがわかるかと思います。

基板を組み込んだ図

 基板を組み込んだ図です。上ケースに基板を固定する為に後側にもフックを作ってあります。ネジを使う余裕が無いので。画像右下にある大きく見える(実際は小さいのだが……)コネクタは ATmega8のプログラム書き変え用のものです。

ケース裏面

 ケースの裏面です。下ケースを外す時に爪をひっかける為の微妙な凹みをつけてありますが、それ以外何もありません。側面も何もなし。左上と右下の白い丸は元々、ネジ止めする為の穴でした。今回は自作フックで止めるので不要になったので FOREXでふさいであります。

コスプレ
コスプレ。


LEDの小細工

 POWER兼 LOW BATTERYインジケータとして緑色LEDを使っています。高輝度型のは明るいのですが、ギラギラして美しくないので秋葉のガード下で見つけた拡散型の LEDを最初、使っていました。しかし、オールドタイプなのか、5mA程度流しただけではとても暗くていまいちでした。10mA流せばまあまあの明るさなのですが、全体で 70mA程度なのに 10mAも食うのはどうかと。

 というわけで、高輝度LEDに拡散型 LEDの先端部分をつないで拡散板として使ってみました。

元のLED

元の LEDです。円筒形です。

先端をカット

先端をニッパーでカットします。この後、切り口をやすりで削ります。

部品。高輝度LEDと熱収縮チューブとアルミホイル

カットした先端部分と高輝度LEDと熱収縮チューブ、それにアルミホイルです。アルミホイルをつなぎ目に巻いて光を反射させ、わずかでも光度低下を防ぎます。

点灯テスト

点灯テスト。これで 5mAでも以前より明るくなりました。消費電流を約5mA節約。バッテリーが単四なのでこれは大きい。単純計算、800mAHの電池の場合、70mAだと 800 / 70 = 11.4(時間) が 800 / 65 = 12.3(時間) と、50分程度長く再生できることになります。

MP3プレーヤー操作面

組み込んでみました。結果オーライ。

 2005.10.13 追記。
 その後、LEDを高輝度型の TLGE160に変更しました。2mAでも充分明るく光ります。


電池ホルダ回りの作りなおし

新しい電池ホルダまわり 電池ホルダまわりのクローズアップ

 今回、スペースの関係上、電池ホルダとケース蓋部分の固定フックをリン青銅板で作ったのですが、蓋の固定フックの方がちょっと心許ないので作りなおしました。近所のホームセンターで売ってたプラスチックの角棒を削って蓋の固定フックと電池のホルダを作ってみました。今度はきっちりはまります。電池の固定もしっかりしたので接触抵抗が減って効率がよくなったようです。稼働時間が実感できる程延びました。


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