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Ten-Tec 1254

Ten-Tec 1254 製作記

Ten-Tec社の BCLラジオキット Model 1254を製作メモです。そのうち改造なんかしちゃったり。



2003.3.13(木)

 仲間うちのメーリングリストに「なんかラジオを買おうかな」と書いたらN氏に Ten-Tec 1254はどうかと言われる。100kHz〜30MHzを受信できる BCLラジオのキットだが、ちゃんとしたケースもついている。性能もなかなかのものらしい。たちまち共同購入という話になる。

2003.3.15()

 N氏が Ten-Tec社にメールで確認したところ、在庫切れと言われる。

2003.3.21(金・春分の日)

 周波数ステップを 100Hzにする改造法を妄想する。

2003.5.14(水)

 「重要な部品が入手できないのでまだダメ」と言われる。

2003.7.19()

 部品がそろったらしく、品物ありますとのメールが来る。

2003.7.28(月)

 N氏がとりまとめて FAXで発注。結局6台購入することになる。

2003.8.1(金)

 N氏宅に品物着。思ったより早い。

2003.8.2()

 N氏が花火見物のついでに 1254を2台(別の友人の分を含む)持ってくる。色々お手数かけます。(^^ゞ

マニュアルの1ページ  マニュアルを斜め読み。全ての部品について取りつける順番や見分け方などが書いてあり、とても丁寧で感心する。分厚いので一見大変そうだが、マニュアル通りひとつひとつコツコツと作業していけばちゃんと完成できるようになっている。このあたりはまるで製造現場の作業指示書のよう。アンテナの張り方まで書いてあるし。

 どうやら周波数ステップの改造は DDSを使わずにソフトウェアの変更だけでできそうだ。

2003.8.3()

 正誤表と部品の変更表がついてきたので、それを見ながらマニュアルを修正しておく。今回のロットはダイオードが2種類と、コンデンサとコイルが各1個づつ値が変更されているようだ。ダイオードは識別しにくく、無くした場合は入手が難しいのでメモ用紙に名前を書いておき、それにセロハンテープで貼り付ける。他の部品はそろっているかどうか一応チェックしておくが、抵抗やコンデンサは足りなくなっても近所のパーツ屋に買いにいけばいいのでサボってしまう。数が多いし。

 抵抗とコンデンサ以外の部品チェック終了。特に過不足無し。やはりダイオードの識別と、コイル類の識別で少し悩む。抵抗型のは色コードになってるのでまだいいが、それ以外は数と基板の足の数やピッチから判別する必要がある。あと、スピーカー用のコードは既にスピーカーについていた。

2003.8.4(月)

 PHASE 1.0 Display Boardの製作。部品も少なく、特に問題無し。LEDは実際のパネルと組み合わせて足の長さを決める必要あり。電源のトグルスイッチはそのまま取りつけるとレバーが引っ込んでしまって操作しずらいのでナットをつけかえてしまう。D5と D6の間にある空きランドは、配線をたどったらもう一つ LEDをつけられるようになっている。実装してソフトウェアを変更すれば点灯させることもできるので、何か使えないか考えたり。

2003.8.6(水)

TenTec1254製作 PHASE2  PHASE 2.0 Display Driver, Microprocessor and DC Power Input Circuits の製作終了。これもたいして部品は無いので1時間半程度で終わってしまった。注意する点は次のとおり。

 これで Display BoardとT型に組み合わせて電源を入れると 15.000.0MHzの表示をすれば OK。スイッチやロータリーエンコーダが効いて LEDがちゃんと点灯すれば良い。

 ところでこのキットには 7SEG LEDドライバとして 74LS47が使われているが、これは6の上のバーと9の下のバーが点灯せず、わたし好みではない。だもんで 74LS247と ICソケットをあらかじめ買ってきて取りつけた。74LS47と 74LS247はピンコンパチで差し替えが可能なので、ICソケットにしておけば後で交換して遊べる。

74LS47の表示 74LS47による表示
74LS247の表示 74LS247による表示
マスキングテープは作業中に傷がつくのを防ぐ為

 それから、U2(PIC16C57 Microprocessor)のソケットはわたしの場合は付属の物を使わず、わざわざ丸ピンソケットにしてある。これは後で改造する為の布石。

2003.8.7(木)

 今日の思いつき。ソフトウェア変更だけで全帯域を 1kHzや 100Hzステップにするのは PLLループ周期(設計上は 2.5kHz)を大幅に変更することになるのでかなり無理があるだろうが、中波帯(500〜1700kHz)だけ 9kHzステップにする(PLLループ周期を 3kHzに設定する)ことはたぶん可能だろう。MODEスイッチに従来の AM(100kHz〜30MHz), SSB(100kHz〜30MHz)に加えて MW(531〜1620kHz, AM)のモードを追加すれば実にスマート。

 ↑これも 3.58MHzの水晶を交換しないとダメっぽい。1ヶ所パターンカットして 6MHzの水晶をハンダづけすればたぶん大丈夫。6MHzでなくても 2.5kと 3kのどちらでも割り切れる周波数であればいいが、入手しやすそうなので。

2003.8.8(金)

基板拡大写真1 基板拡大写真2  PHASE 3.0 VCO's and PLL Circuit 終了。VCOのチェックでは VCO1, VCO2共にチェックポイントの電圧が約2.5Vから 8.5Vにスムーズに上がっていったのでたぶん大丈夫だろう。周波数カウンタがあればちゃんと確認できるんだけど。

 この PHASEではトランジスタとダイオードの向きを間違えやすいので注意。また、セラミックコンデンサとマイラーフィルムコンデンサを間違えないように。

2003.8.9()

 マイコン PIC16C57を引っこ抜いて AVR AT90S4433と差し替える回路図を描いてみる。単にピンを置き換えるだけ。AVRだとC言語で開発しやすいのと、プログラムが EEPROMに載るので何度も書き換えてデバッグがしやすいからね。

 PHASE 4.0 Audio Section, AGC, 455kHz 2nd IF 製作完了。これくらいになると基板上がにぎやかだなあ。R52を指で触れるとスピーカーからノイズ流れ、SSBと AMを切り替えると音色が変わるからたぶん大丈夫だろう。さっきは地元の中波放送が聞こえたし。ところで、ロータリーエンコーダを回すとその度にピロピロ音がする。PLL回りとは回路的にはまだ接続されていないのでノイズが飛んできているのだろう。LEDディスプレイパネルを外した状態ではしないのでそちらから回りこんでいるらしい。場合によってはこちらの人のようにシールドした方がいいかも。

 基板を見て気がついたのだが、455kHzの 2nd IFのフィルタは大小2種類のランドが設けられており、どちらのタイプでも取りつけられるようになっている。わたしのキットにはたぶん放送用の小型のものがついていたが、SSB/CWでの選択度を気にする向きには狭帯域のフィルタを用意してそれを実装すればいいかも。わたしの場合は AM放送主体なのでこのまま行きます。

 ↑追記。キットに付属の物は 6dB通過帯域幅±2kHzのもののようです。交換するとしたら±1.5kHzのムラタ CFR455Jや相当品ということになると思います。設計は CFR455Iでされています。

 PHASE 5.0 Second Mixer and 45MHz First IF も製作してしまう。Q4(Dual Gate FET)は印刷のある方を上向きにするのを勘違いして印刷の無い方を上にしてしまった。よりによって一番デリケートな部品を…。作業を終了し、テストポイントを金属製ピンセットで触れても全く音が変化しなかったので、Q4のハンダを外して逆向き(というか、正しい向き)にしたら今度はちゃんと音が変化する。周波数表示を 0.000.0にするとビート音がし、クライファイアつまみを回すと音程が変わる。今度は大丈夫だろう。今日はこのくらいにして美味しい所は明日にする。

2003.8.10()

 N氏宅に FeDexから追加請求書が届いた。なにそれ〜。結局更に 8,300円を支払うことになった。計算してみるとそれでも1台あたりの送料は 1,200円くらい安くなってるからまあいいか。

 ↑追記。消費税と関税・手数料とのこと。

基板拡大写真3 基板拡大写真4 基板拡大写真5  PHASE 6.0 RF Input Circuit and First Mixer と PHASE 7.0 Final Assembly of Model 1254 Receiver を続けて作業。完成! 結局部品の不足は無く、0.047μFのマイラーコンデンサが一つ余計に入っていた。また、部品の変更で 220pFを 150pFと交換しろと指示があったのでその分と思われる 220pFのセラミックコンデンサと、アンテナに電圧を供給する L20の 100μHは実装しないのでこの分のコイルも余った。

 マニュアルでは VCOの電圧は約3.5〜8.5Vになるように調整しろとあるのだが、うちの場合は約2.2V〜8.5Vで動いている。下の方を 3.5Vにすると上の方が 8.7Vくらいでクリップしてしまうのでそうしたのだが、これで問題無いようだ。ここはまあ、チューニングができればいい部分であるし。

 ひとまず部屋の鴨居にリード線を伝わせて室内アンテナにしてつなぐ。ひととおり調整するとちゃんとあちこち放送が入る。快感。イランやベトナムの日本語放送も聴けた。この程度のアンテナで入るのだから一昔前のいわゆる BCLラジオ並みの感度はあるんじゃないかと思う(特に根拠無し)。また、中波の感度が悪いという話だったが、このアンテナをつないだ状態なら普通のラジオ以上の感度は出ていて特に問題はなさそう。

 ↑後日訂正。やはり中波の感度は悪いようです。実家のお風呂ラジオに完敗しました。
 →中波の感度アップ

 周波数が 5kHzステップというのが少し気になっていたのだが、使ってみるとなかなか合理的でいいと思う。元々短波放送は 5kHzごとに並んでるわけだし、チューニングがすばやくできる。日本の中波が 9kHzおきなのでこの点では困るんじゃないかと思っていたが、AM放送はかなりブロードなのでそのままでもけっこう聴ける。とは言ってもやはり美しくないので後で改造してしまおう。
 →CPU交換・中波 9kHzステップ改造

2003.8.18(月)

 うちの機械の場合、実は SSBの復調がまともにできていなかった。中波に関する改造を先行させていて後回しにしていたのだが、手を入れてみる。とは言っても SSBの復調回路には調整カ所が無く、どうしたらいいか困ってたのだが、思い出したのが部品の変更表。BFO発振回路の C36を 220pFから 150pFに変更しろと書いてある。それに従って 150pFを実装したのだがうまく動作しない。もしやと思って 220pFに戻したらビンゴ! ちゃんと復調できるようになった。部品の個体差もあるだろうから一概には言えないが、SSBがうまく聞こえない場合は調整してみるといいかも。

2003.8.26(火)

 コイル/高周波トランス類を再度調整してみる。マニュアルでは T6も最高感度の所に合わせろとあるようだが、'99年12月号のモービルハム誌には最高感度の所から少し戻した所の方が具合がいいとあったのでそうしてみた。感度は少し落ちるのだが、ノイズがそれ以上に少なくなるので聴きやすくなるようだ。他は指示通り最高感度の所に合わせれば良い。


参考リンク