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【NFB付き終段FETゲート変調】50MHz AM 1W トランシーバー DTR-25 / JR0DBK

2025.6.11

→【500mW出力】50MHz QRPp AMトランシーバーキット KTR-12
→【NFB付きベース変調 200mW】50MHz AM QRPpトランシーバー DTR-20
→【NFB付きベース変調 500mW・中波/短波/FM放送受信】50MHz AM QRPpトランシーバー DTR-23
→50MHz QRPp AMトランシーバーキット KTR-10
→【NFB付き終段FETゲート変調】50MHz AM QRPpトランシーバー DTR-24


2025年版でようやく 1W出力達成

数年前から始めた 50MHz AMトランシーバーの自作、とりあえずの目標が「1W出力」でした。昨年完成した DTR-24はかなり満足のいく出来ではありましたが、500mWしか出力が出ませんでした。多少サバを読めば 750mWなどと言っても良かったのですが、あまり意味がないし。

送信回路やその周りの回路、電源回路等も安定動作しているので最後の手段として終段 FETを大型化しました。これが成功。安定した 1Wが出るようになりました。

そんなわけで 1W出力を達成した DTR-25。フットプリント約10cm×10cmでパームトップ。50MHz AMトランシーバーですが、50MHz SSB(受信のみ)、FM放送、中波、短波放送受信も可能。

※2025.6.11現在、変更申請受理待ちです。JARDの保証認定は下りています。

DTR-20から基本的にケース構造が同じなので区別がつきません。ボタンの色だけ変えてます。

画像左上 DTR-23、左下 DTR-20、右上 DTR-25、右下 DTR-24

ケース構造が同一なのは大きすぎず、小さすぎず、メンテナンスもしやすく、それなりにかっこいい感じだったので。もちろん、変更するといろいろ面倒というのもありますが。

ケースは 2mm厚のアクリル板をレーザーカットして組み合わせています。単に板を接着剤で貼り合わせるのではなく、ホゾ組みのように組み合わせてから接着しています。それなりに頑丈です。

カット図面はこんな感じ。

→DTR-25 ケースのレーザーカット加工図(144mm x 294mm)(PDF)

上ケースはネジ4本を外すと開けられます。内部はこんな感じ。

ある程度バラしたところ

仕様

名称50MHz AMトランシーバー DTR-25
周波数受信:50.000MHz 〜 54.000MHz(AM/SSB)
FM放送:76.0 〜 108.0MHz
AM放送:150kHz 〜 30MHz(ただし、実用感度は中波・短波域のみ)
送信:50.003MHz 〜 53.997MHz(AMのみ)
送信出力:1W / 9V
終段FET:AFT09MS007N x 1個
電波形式:AM(A3E)
変調方式:ゲート変調(NFB付き)
受信 受信方式:シングルスーパーヘテロダイン+DSP(50MHzとHF帯)
中間周波数:10.7MHz
DSPチップ:Si4732-A10
(AM及び SSB受信可能。SSB patch : PU2CLR SI4735 Library for Arduino)
FM放送帯:プリアンプ+DSP
MW放送帯:DSPで直接受信
制御MCU : STM32G030K8T6
PLL : Si5351A 基準クロックは 0.5ppm TCXO
電源3.7V 2000mAh Li-Po電池1個内蔵
外部入力 5V 0.5A or 3A USB-TypeC・USB PD対応
外形寸法・重量W108mm x D74mm x H44mm(突起物を除く)
重量:250g(内蔵 Li-Po電池を含む)

送信回路

送信基板。DTR-24の新しい送信基板と回路はほとんど同じものです。終段FETだけ変えてあります。

変調は AM自作機でよく使われるドレイン変調(トランジスタならコレクタ変調)ではなく、ゲート変調でやっています。ドレイン電流による NFBをかけて変調歪みを1%以下に抑えています。詳しいことは DTR-24の説明をご覧ください。

→DTR-25 送信基板回路図(PDF)

変調波形と変調スペクトラム。キャリア(50.62MHz)から 2kHz以上離れた所のトゲが変調歪みによるスプリアスです。信号より 20dB以上小さいので「歪率1%以下」ということでよろしいかと。

変調波形画像の Vpp値がやけに小さいですが、元々50MHz帯域のオシロスコープなのでそのあたりの数値はあまりあてになりません。

10〜310MHzのスペクトラム。50MHz 1W以下では -13dBm以下であればいいので問題ありません。

ちなみに電波法では 1Wを「超える」とスプリアスはキャリア出力より 60dB以上小さいことが求められます。1Wの 60dB以上、下となると -30dBm以下が必要ということになります。

帯域外スプリアスの確認の為、無変調時のスペクトラム。全く問題なし。50.245MHzのトゲは測定機自身によるスプリアスなので無視してください。なにせこれ、何も繋がなくても出てきますので。気がつくまでしばらく悩みました。

変調スペクトラムのグラフは RTL-SDR.COM V4rtl_power_fftwを使い、出てきたデータを自作スクリプトで処理しています。

受信回路

受信基板。DTR-24と同じものです。詳しくは DTR-24の受信基板の説明をご覧ください。

→DTR-25 受信基板回路図(PDF)

50MHzの一番最初の BPFの L3は 1608のチップインダクタを使っていたのですが、50MHzではうまく動作しないことがわかったので T-25-10に手巻きした 1μHのインダクタをつけています。この変更で 13dBくらい(!)感度が上がりました。

1608のチップインダクタを使った場合の C1-L3によるフィルタ特性。ピークが 38MHzくらいになっていて、50MHzでは 10dBくらいのロスが生じています。

このチップインダクタは 30MHz以下であれば動作は問題ないのですが、周波数が 50MHzまで上がると極端に Qが下がります。これはデータシートのグラフをよく見ればわかったのですが安易に使ってしまいました。

これを T-25-10の 20回巻き自作インダクタに変更するとピークが 50.5MHzくらいになってロスもほとんど生じません。感度が 10dB上がるのも不思議はありません。

なお、T-25-10の 20回巻きは厳密には 0.95μH程度(@50MHz)のインダクタンスになります。わたしが NanoVNAで実測したところ、T-25-10の Al値は 50MHz付近では 2.3程度で換算するといいようです。

ちなみに 1μHのマイクロインダクタでやってみるとこうなります。50MHzではインダクタンスが少し上がるので共振周波数が少し下がっています。10pFのコンデンサを少し小さくするといいでしょう。8pFとか。

KTR-10/KTR-12にも同様の回路があります。上記を参考にいじってみると数dB感度が上がると思います。

制御パネル基板と電源・マイク・PLL・オーディオアンプ・コネクタ基板

制御パネル基板の正面。基板を新調しましたが、基本的に同じものです。タクトスイッチのキートップは色のバリエーションがあまり無いので白いものにアクリル絵の具で塗装してみました。

→DTR-25 制御パネル基板回路図(PDF)

制御パネル基板の裏面と電源〜コネクタ基板。電源〜コネクタ基板も新調しましたが、こちらも基本的に同じです。

DTR-25 電源・マイク・PLL・オーディオアンプ・コネクタ基板回路図(PDF)


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